Live & Bar Caballero Club


Demi's Diary in HOKKAIDO

北海道日記(デミ日記番外編 )

ご意見、ご感想はこちらまで。


今回の北海道旅行は3泊4日「まるごと横断北海道」(飛行機代、ホテル代、朝食が付いて一人¥30000)という阪急旅行社の格安パックツアー。宿泊地は、旭川〜網走〜札幌。毎日長距離をバス移動する強行軍ですが、バスの移動以外は自由行動なので各地で夜は満喫できるぞ、とチカちゃんと二人で参加を決めたのであります。(しかし団体バスツアーの恐ろしさを、我々は甘く見ていたんだなぁ、これが。)


出発準備

私は北海道に行ったことがありません。なので、初めて行くにあたり、いろんな人に情報を聞いたのですが、我々が行く11月というのは、花は咲いてないし紅葉は終わってるし雪はまだないし、まさに何もない時期だそうです。そういうことなら、とにかく美味しいものを食べよう、という目的設定で、旭川は旭川在住のお客様 I江氏、網走は網走出身のお客様 TK氏に色々と伺って現地の方とも連絡をとっていただきました。そして札幌では、今年の夏まで名古屋にいたベーシスト君と連絡をとってくれたメグさんが11/10に札幌のライブハウスで歌うことになり、現地で会うことになりました。こうして、各日とも夜の準備だけは万端にして、それ以外は何の予備知識も準備もなしに出発の日を迎えたのであります。

そうそう、もう一つ準備していったのが下の写真を印刷したポストカード。現地でお世話になる方や、お知り合いになれた方に名刺代わりに渡そうと用意していきました。

 

↑持参したポストカード(ちょっと実際の写真とは違うんだけど)。裏にキャバレロの地図など印刷してあります。この旅で20枚ほど配ってまいりました。まるで営業出張じゃまいか?!


11月8日(月) 名古屋〜旭川、晴れ、後くもり、深夜に通り雨

出発!

11時頃、チカちゃんが家まで迎えに来てくれました。ぎりぎりまで何を着ていくか何を持っていくか親方ともめながらも、12時前に出発。名古屋空港近くの駐車場に予約をしてあったので、そこに車を預け、駐車場のバスで空港まで。(ちなみに駐車場代は1日¥1000。予約のない車は断られてました。)空港でまずはお土産を買い、荷物を預けてチェックインした後、お昼ごはんに名残を惜しんで名古屋名物きしめんを食べました。そして時間的には余裕をもって搭乗口へ。しかし荷物チェックで問題発生。私はベルトのバックルとワークブーツの金具がひっかかり、ベルトも靴も脱がされました。チカちゃんはキーホルダーがひっかかり、付けていた VICTORINOX の小さなナイフを取り上げられてしまいました。っていうか、帰ってくるまで預けることになり、説明を受けて書類を書いているうちに最終搭乗案内が流れて、走って飛行機へ。話には聞いていたけど、本当にチェックが厳しいんですねぇ。

13:40 定刻通りに離陸。私は今回の旅で眠るためのお供に「古事記」を持参、飛行機の中でさっそく読んで少し眠る。チカちゃんは何もなくてもすぐ就寝。

15:25 定刻とおりに着陸。旭川空港に着きました。おぉ、何もない。アメリカとかカナダとかの田舎の空港のようだ(行ったことないけど)。と思いつつ、荷物を受け取って出口へ向かうといくつかの旅行社がお迎えに着ていました。覚悟はしていたけれど、なんと年齢層の高いことか。我々のツアーは40名、1組母娘と思われる娘の方が私くらいの年齢かと推定される以外は、見事にシルバーだ。チカちゃん曰く「私達二人の写真、誰も撮ってくれないよ。皆デジカメ使えないでしょー。」。。。。ですよねぇ。

とにかく、バスに乗り込み市内へ。このツアー、3日ともに宿泊先のホテルを選べるようになっており、我々はバスで30分ほど走り「ホテルクレッセント旭川」に到着。(ここで降りたのは私達を含め4組、残りの方はさらに2時間余りかけて層雲峡へと向かいました。)フロントでチェックインしてお部屋へ。街中のビジネスホテルといった感じで部屋も狭いけど清潔だし、なにしろ寝るだけだから文句はありません。荷物を置いて、あ〜あ。と横になり、夕焼けを眺めながら電話したりメールしたり、今夜の予定を立てているうち、4時半には暗くなってしまいました。北海道の夜は早いのです。

旭川の夜

5時過ぎにホテルを出て街を散歩。日は沈んだけれど、それほど寒くありません。我々はダウンコートを着てるけど、地元の人でダウン着てる人はいないくらいです。ホテルは5条8丁目、目指す繁華街は「さんろく街」と呼ばれる3条6丁目。駅からまっすぐ伸びる明るい買物公園通りを探索しながら居酒屋「おおとり」へ。I江氏がお店の方に電話を入れてくださってました。ここで北海道らしい地元のお料理をリクエスト、旭川の日本酒「男山」とともにいただきました。全体としては、ごくごく普通の居酒屋さんでありました。以下の写真は食べたお料理の一部です。(そうそう、I江氏にほかほかのジャガイモに塩辛をのせて食べてみなさい、と言われたんだけど、これはよろしくありませんでした。別々に食べれば美味しいものの、載せて食べる意味、何もありませんでした。)

 

↑男山、夏季限定「笹おり」。冬期限定じゃないの?って聞いたら冬期は2月〜なんだそうです。お魚は「こまい」。干物です。

   

↑(左)真ん中が「たち」と言われる真たらの白子。これは美味でした。(中央)行者にんにく、別称アイヌネギ。元気が出るそうです。(右)おなじみ、ほっけの開き。

おおとりを出た後、お腹いっぱいの我々は少し歩かねばと、再び街を散策。ドラマーの則竹氏推薦のライブハウス「スクランブル」を探してみるが、104でも該当なし。則竹氏の勘違いか。そういうことなら、と出発前にインターネットで調べたライブハウス「ライブスポット JAZZ」「BOGGIE'S BAR」に電話してみるが、前者は応答なし、後者はジャズでなくオールディーズだということで、壁にぶつかった我々は、街の酒屋さんに入りお薦めのバーを紹介してもらう。「Cocktail Bar SPOON」という所。裏道に隠れ家風の入口。小洒落たバーです。カウンターに先客が2組。我々もカウンターに案内されて、チカちゃんは本日おすすめの「熊本産みかんのカクテル」、私はラムリッキーをオーダーしたけど、ダークラムがマイヤーズしかないというのでブルドックをオーダー。すべてのカクテルにフレッシュジュースを使うらしく、ミキサーがフル回転。3人のバーテンダーは大忙し。結構な繁盛店のようで、その間にもお客様が続々来店、次から次へと店の奥へと人が吸い込まれていきました。小さなお店かと思っていたら、かなりの人数を収容できるようです。お店を十分観察した頃、カクテル到着。みかんのカクテルは、熊本みかんにこだわらなくてもオレンジの方が美味しいでしょう、というお味。ブルドックは美味しかったです。それから、立派なチーズ盛り合わせカマンベール、ブリー、ブルー、ドライフルーツ、蜂蜜)が一人一皿運ばれてきました。お通しのようですが、満腹の我々は手をつけられません。忙しそうなのでもう1杯頼む雰囲気でもなく、落ち着かないのでお店を出ることに。二人で¥4800。デートにはお薦めのお店でありました。

サックスとクラリネットの店 TAKE5

バーを出てもまだ9時半。さんろく街の看板に「Jazz Bar Sebastian」という看板を見つけてエレベータに乗って行ってみるが、看板に灯りはなく自動扉も開かず。もう営業していない様子。諦めきれないでうろうろしていると、チカちゃんが歩道に置かれた「サックスとクラリネットの店 TAKE5」という看板を発見。それでもちょっと怪しいビルなので躊躇して、もう少し歩いてみたけどジャズバーやライブハウスらしき店は見つからず、やっぱりここに入ろう!ということで TAKE5 の入っているビルへ戻る。看板には4Fとあるけどエレベータがない。相当古いビルのようだ。歩いて階段を上がると3階に「Misty」という店があるが、ここも閉店してしまった様子。大丈夫かなぁ、と言いながら4階を目指すと階段の踊り場のTAKE 5の看板に「当店は8時からの営業です。」と上手とはいえない手書きの紙メモがセロテープで貼ってある。怪しいなぁ。扉の前で顔を見合わせ、覚悟を決めてチカちゃんが扉を開けると、マスターらしき男性が出てきました。私達が入ろうかどうしようか店内をのぞいて迷っていると、「せっかくここまで来てくれたんですから、どうぞ。」とマスター。「ライブ、あるんですか?」と私が聞くと「サックスとクラリネットで、僕一人の孤独な演奏があります。」とのこと。そのおかしな返事に受けて、入ることにいたしました。

で、私達、名古屋から旅行で来ました、ライブハウスを探してここに辿り着きました、と話していると、「ライブスポットJAZZ」が「Jazz Bar Sebastian」に変わり、しかしつい最近やめてしまったことを教えてくれました。そして私達が札幌にも行くと言うと、年に何度か演奏しに来てくれるピアニスト福居良さんの「Slow Boat」というライブハウスがあるから行ってみたら?と紹介してくれました。さらに目の前で福居さんに電話までしてくださいました。そしてさらに、「阿寒湖には行く?行くなら、アイヌのビッキさんのお店に行くといい。一雄さんという人がいて、名古屋のライブハウスに年に一度は行ってるはずだから。」とのこと。そこにも電話してくれたけど、当然お店は留守でした。そんな話をしていたら、マスターおもむろにカウンターから出てきて、サックスを首にかけ、演奏を始めました。一人の演奏ってどんなかと思ったら、CDをバックバンドにしての演奏でした。サックスで1曲、クラリネットで1曲。(曲名忘れちゃいました。)「もっと、やって〜。」と拍手を送ったけど、「ちょっと休憩。」。それから、東京のサックスのT氏やベースのK氏の話で盛り上がり、店内に貼ってある11/28の旭川ジャズイベントのポスターに岡田勉氏の名前を見つけ、また盛り上がり、BENさんの名前の横にマーキングしてきました。そこで名刺代わりに名古屋から持参したキャバレロのポストカードとチカちゃんと私の写真のポストカード(!)をマスターに渡しました。マスターは至く喜んでくださり(?)、「サインしてください。」というので、カードの裏に控えめに名前を書いてきました。皆さんが旭川に行くことがあったら、ぜひ TAKE 5にお出かけください。もしかしたら、まだチカちゃんと私の写真が飾ってあるかも?です。

  

↑(左&右)マスターの長坂氏による孤独な?演奏。サックスで1曲。クラリネットで1曲。サックスとクラリネットの店ですから。(中)キャバレロにも飾ってあるジャケット、すごく大きいのが壁に飾ってありました。

 

↑「一緒に写真撮ってください。」ってお願いしたら、楽器持たせてくれました。意外と慣れてる?。私はマスターの許可をもらってサックスの音出してみました。ぶひー。と鳴りました。

 

↑我々のマーキング、マスターに渡したポストカード2枚(実際の写真とはちょっと違うんだけど)。カウンターの中に飾ってくれました。いつまで飾ってあるかは謎ですが、旭川に行く方がいれば、ぜひ見てきてください。

さて、写真撮影してから、T氏の娘さんのCDとか、K氏のライブのDVDとか、いろいろ聴かせてもらってさらにお喋りに花を咲かせました。マスターは「この後はもうお勘定いいですから、どんどん飲んでください。」と秘伝の?オリジナルカクテル(教えてあげるからメモしなさいと言われたけど、ウォッカトニックにカルピスを数滴!という実にシンプル&キュートなカクテル)までつくってくださったのですが、K氏のDVDを見ているうちにチカちゃんが船をこぎ始めたので時計を見ると12時をまわってます。誰か他のお客様が来るまでいたかったし、とても名残惜しいけれど、明日の朝が早いし、そろそろ失礼することに。マスターとハグハグしてお別れの挨拶を交わし、お店を出ました。

うとうとしていたチカちゃんですが、お店を出て階段をおりながら言うには「チカはラーメン食べるよ。」。。。。さすがです。私も異存はありません。旭川はラーメンの町、弁慶山頭火か迷ったのですが、結局「山頭火」へ。途中で買った「ウコンの力」を飲んだ後、みそラーメンとしょうゆラーメンを食べながら今夜の反省会。(ラーメンは美味しかったけど、酔っているので本当に美味しかったかと言われると謎であります。どんな味でどんな麺だったかも記憶にございません。)この日はとにかく「TAKE 5」に行ってよかった、ということに尽きます。マスターは素朴で優しく温かい人柄。ジャズや共通の知合いであるミュージシャンの話で盛り上がり、旅先の初めてのお店なのにすごく親しみを感じて楽しく過ごすことができました。そのうえ阿寒湖や札幌のお知り合いを紹介していただき、これからの旅の楽しみも増えたのです。長坂さん<本当にありがとうございました。(TAKE 5の雰囲気を名古屋の方にわかりやすく伝えるためにチカちゃんと私の感想をまとめると「旅行中の女性二人が偶然Kニーズの看板を見つけて入ってしまい、大喜びのKラさんに大サービスを受けつつ、いっぱいお喋りして楽しい夜を過ごしてしまった」というところでしょうか。実際、札幌の福居氏には「たまたまとはいえ、よくあそこに入ったなぁ。」と感心されました。)

ラーメン食べた後は、さすがにまっすぐホテルへ。しかし、来た時と違う道を歩いて帰ったらホテルを通り過ぎてしまい、おまけに通り雨に出会ってびしょ濡れになってしまいました。1時過ぎ、ホテル着。親方やらTK氏やら関係者?に電話やメールして就寝。「古事記」の助けを借りずとも、即刻眠りに落ちました。


11月9日(火) 旭川〜層雲峡〜網走 くもり、時々晴れ

バスツアー体験

6時半起床、シャワーを浴びて身支度。チカちゃんは朝ごはんを食べないので、私だけレストランへ。牛乳とフルーツ、コーヒーで体を目覚めさせました。部屋に戻り、チカちゃんと一緒に荷物を持ってロビーへ。今日もさほど寒くありません。8時、バスに乗り込み出発です。

旭川から層雲峡までは4組8人だけ。石狩川に寄り沿うようにして39号線をひた走り一路層雲峡へ。チカちゃんはバスが動き出して5分と経たないうちに寝息をたてておりました。途中、ときどき見せた晴れ間から雪の薄化粧をした大雪山の頂を望むことができたのですが、それはチカちゃんの知らない話。そして層雲峡の「柱状節理」と呼ばれる自然がつくりだしたダイナミックな岸壁が右に左にと見え始めました。昨日、層雲峡に泊まった人達がここを通ったときは既に真っ暗で何も見えなかったそうだから、我々はラッキーです。バスガイドさんの説明と共に一行が右に左にと視線を移し、景色を眺め写真を撮影しているなか、むくっと起きたチカちゃんが「まぶしいっ!」と一言、カーテンを引いたときにはバスの中の空気が一瞬凍ったのですが、それはまた、チカちゃんの知らない話。

層雲峡のホテルで残りのツアーの方達を載せ、総勢44名、バスはほぼ満員で移動。(名古屋空港で飛行機に乗り遅れた4名が昨夜遅れて合流したそうです。)乗った早々、皆さんお土産を買いまくったようで、「チョコレートはトランクに預けて大丈夫かね?」「チョコレートは溶けるかもしれませんねぇ。」「私、昆布を預けちゃったがね。大丈夫かね?」と大騒ぎ。それでもなんとか出発、まずは銀河の滝、流星の滝を眺めるポイントで記念撮影。(我々は一番後ろに隠れて写りませんでしたが。)

 

↑層雲峡は石狩川沿いに20キロ以上続く断崖絶壁の峡谷。そこで最も美しいと言われる2つの滝、銀河の滝、流星の滝。どっちがどっちかは?。

さらにバスで移動、大雪湖を通り、いくつか峠を上り下りしてきつね村へ。でも、ここのきつねは飼われているきつねなので、ぶくぶく太ってきつねたぬき野良犬か何なのか不明。表の売店では毛皮のコートや襟巻きを売っているのだから、哀愁漂うきつね村です。それでも、我々一行のおばさま達は毛皮のベスト買ってました。

←トイレの横にあった謎のお稲荷さん?。毛皮にしてしまうのだから供養も必要でしょう。

そして、昼食をとるオホーツク観光物産本店へ。昼食は何を食べても自由なのですが、めんどくさいので団体用の食事をしたところ、あまりの不味さにほとんど手をつけられません。翌日は団体用食事を断りました。お土産も冷凍物ばかりで全く美味しそうでないので、我々は何も買わずに喫茶店でコーヒーを飲んで時間をつぶしました。

ようやくバスに乗り込む時間。皆さん宅急便で送ったもの以外にも両手にお土産抱えております。おやつまで買ったようで、乗った途端、みかんさきイカの臭い。空気の入れ替えにと少し窓を開けると、「寒い、寒い。」と言い始めた後ろの方が窓を閉めようと席を立つと、ガイドさんが「立たないで〜!」と絶叫。結局、気づいた我々がすぐに窓を閉め、道中みかんとイカの臭いと戦うことになりました。ところで、このガイドさん必死の形相の「立たないで〜!」お叫びはこれから先何度も聞くことになります。何しろバスは山の中を走り続け、急な上り下りやカーブがある上に鹿やきつねが飛び出してくる危険もあり、急ブレーキを踏んで転ばれては困るのです。ましてや、このツアーの皆様、転んだら簡単に骨が折れそうな方ばかりなので、ガイドさんも必死なのです。休憩するたび、出発時間に遅れる方もいるわけで、そういう方がバスまで走ろうとすると、「走らないで〜!」。とにかく、転ばれては困るのであります。このお叫びを聞くたび、チカちゃんと私は笑いをこらえるのに必死でした。

網走観光

そうこうしているうちに網走へ。ここでも分宿のうえオプションの市内観光ツアーに参加する人しない人がいて、ガイドさんが何度説明しても、自分がバスを降りたらいいのか乗ってればいいのか、なかなか全員が理解するのは難しく、小さなパニックになりましたが、3時ちょうど、チカちゃんと私はなんとか宿泊先「網走ビューパークリゾート」でバスから解放されました。ホテルのロビーに入ると、全面ガラスの向こうには陽の光を浴びて輝網走湖目を奪われる美しさです

さて、網走はお客様のTK氏のふるさと、TK氏の恩師であるO上先生が私達を案内してくださることになっています。出発前に何度かメールでやりとりしていましたが、ホテルへ到着してすぐにお電話すると、なんとなく低く厳しげなお声。チカちゃんと「こわい先生だったらどうしよう。」と不安になっていたのですが、ホテルに現れたのは、笑顔のいかにも優しそうな方でした。自己紹介の挨拶もそこそこに、「日が沈むのが早いから、急ぎましょう。」と、まずはホテル近くの天都山(てんとざん)にあるオホーツク流氷館へ。マルチハイビジョンシアターで網走の四季を写したフィルムを見ます。年末になると流氷がやってきて、どんどん流れてくる流氷が海岸に積み上げられてまるで氷のテトラポットのようになり、春が近づくと再び流氷は海の彼方に流れ去っていきます。そして春がやってくると、氷が積み上げられ北風が吹き付けていた岬に緑が芽吹き花が咲き乱れ、短い夏がやってきて、山が色づき秋になり、再び流氷の季節を迎え.......。こういう類の博物館のフィルムをちゃんと見ることなんてまずないけれど(正直おもしろくないと決めつけていたけれど)、この見たことのない流氷の映像を見て、実際にこういう景色を見て暮らすというのはどういうふうなんだろうか、と想いをめぐらしてしまいました。その後、地下のマイナス18度の流氷体験室で本物の流氷に触り、寒さを体験し、タオルが凍る「しばれ体験」をしました。「しばれる」寒さってのは、こういうことだったんですね。ってことで、流氷館を出て網走湖に沈む夕日を眺めながら天都山を下り、能取湖(のとろこ)沿いにドライブ。ガードレールもなく、途中からは舗装もない道をO上先生の年季の入った四駆でがたがた走ります。「そろばん道路」と呼ぶんだそうです。そして、オホーツクの海辺へ出ました。オホーツクですよ。カタカナの海ですよ。北の果てって感じでしょ。先生が車を止めてくれたので、外にでて記念撮影。ひんやりした空気が心地よく顔を撫でてくれました。それからさらに車をとばして、能取岬へ。右も左も正面も、遥か彼方まで海です。水平線がゆるやかな弧を描いているのがわかります。確かに地球はまるいのだ。

 

↑オホーツクの海を背にO上先生と記念撮影。こんな北の果ての海辺に佇む自分は想像していなかったなぁ。

 

↑誰もいない能取岬。ここで陽が沈みました。フィルムでは、冬は雪のなか流氷がやってきて、春には花が咲き乱れていた美しい岬です。

岬を出て、さらに海沿いを走り、網走の町へ。もうとっぷり日が暮れています。先生と私達の共通の話題といえばTK氏ですから、私達は名古屋での最近のTK氏の行状を報告し(?)、先生はTK氏の網走での高校時代を語ってくださいました。O上先生はTK氏が高校2年生のときに大学を出たばかりの新卒先生、副担任だったのが正担任が体調を悪くしたためそのまま正担任になったそうです。当時の教え子の皆さんとは7才しか年の違わない若い先生で、生徒達と一緒に多くを学んだそのクラスは、お互いに想い出深く、30年の年月を越えて今でも親交が深いそうです。羨ましい関係ですね。そんな話をしながら、網走港に到着。蟹を運んできたロシアの船が寄港していました。「同じ海でとれる蟹なのに、なぜ日本の蟹とロシアの蟹では味が違うか」というのが疑問で聞いてみたら、「蟹そのものより、獲った後の処理で味が変わる」のだそうです。だから日本人が手早く適切に処理した蟹の方が確かに美味しいそうです。なるほどね。お土産として蟹を送りたいと言ったら、先生が手配してくださるとのこと。ありがとうございますありがとうございます。そんな話をしながら車を止めて市場に行くと、魚のせりをしてました。先生はほとんど毎日市場に顔を出すそうです。若い男の子に「あ、先生、お久しぶりです。」と挨拶されてました。皆の先生なんですねぇ。

海の見える学校

港を出て道路に出ると、「これが私が40年教えた学校。私もTKもここの卒業生。」と指差した丘の上を見上げると、港の本当にすぐ上に校舎らしき建物の黒いシルエットが見えました。「ほんとに、海のすぐそばですね。」「ええ、そう。私が通ってた頃は今のような港もなくて、教室の窓から石を投げたら海に届くくらいでした。夏には休憩時間に海に飛び込んだりしてね。日本一ですよ。」。その言葉を聞いて、またさっきの映像が頭をよぎりました。毎日教室の窓から間近に海を眺める高校生活ってどんなだろう?冬になると海の向こうから流氷が流れてくるのを見て、雪のなか氷が海辺に積み上げられて、寒い寒い真っ白な世界になって、そしてまた春が近づくと流氷が去っていくのを眺めて、春には花が咲いて夏には青い海に飛び込んで......。来る年も来る年も、そういう景色を眺めて育つのは、どんなだろう?と想像してみました。名古屋で私達としょっちゅう一緒に飲んでるTK氏が、こういう町で私には想像もつかない、厳しくも豊かな季節を送って育ったのだと思うと、なんだかとても羨ましく、とても不思議な気持ちがしました。(ずっと前に私の地元の海の見える学校「とこきた」について、日本中にあるであろう「海が見える丘」について書いたことがあるけれど、この学校もこの丘も、間違いなくその一つです。土地の人の愛情と思い出が詰まった場所だと思います。)

鮭の帰省ラッシュ

それから先生は網走の駅のすぐ近く、網走川沿いに車を止めてくれました。降りて川の中を見てごらん、と言うので川縁を下まで下り、親方に持たされた懐中電灯で照らすと、鮭だらけ。海から川を上ろうとする鮭の帰省ラッシュで、すごい数の鮭がばしゃばしゃと跳ねておりました。私達の足下には打ち上げられて死んじゃった鮭や死にそうな鮭も。とにかく、びっくり。「鮭って、すごくたくさんいるんですね」。と言ったら先生は笑ってらっしゃいました。網走湖でも同じ景色をバスから見たけれど、街中、しかも駅のすぐそばの川で見ると、また違った驚きがあります。これも、というか、これぞ市内観光。鮭を踏まないように注意しながら車に戻り、今度は網走刑務所の塀をなぞるように車を走らせ、玄関からちょっと中を眺めました。先生が若い頃は、刑務所内の仕立て屋さん(?)でオートクチュールのスーツをお願いしていたそうです。そんな話をしつつ、いったんホテルへ。一休みしてから、夕食に臨むことになりました。ホテルの部屋は湖側でなく町を見下ろす海側。昨日のビジネスホテルよりは広いものの、枕元のデジタル時計は壊れて読めず、スタンドライトを付けようとしたらスイッチボタンが壊れて取れてしまって、なんとも寂れた感じは否めません。でも、ここも寝るだけ、眺めがいいから文句は言いません。

網走の夜

7時に先生がホテルにお迎えに来てくれました。いよいよ夕食、チカちゃんと私もいい感じにお腹が空いて戦闘準備万端です。網走ではTK氏の同級生でありO上先生の教え子でもあるH口氏のお店「花乃れん」でお世話になることになっています。(当日の朝、H口氏みずから私の携帯に確認のお電話までくださいました。)ここでは海の幸をリクエスト、楽しみにしていたものの、到着したお店の佇まいのあまりの高級な雰囲気にちょっとひるんでしまうほどでした。店内に入り案内されたのは奥のお座敷。まるで旅館のお部屋で食事をするように寛いで席に着いたときでさえ、期待は膨らむものの、これから繰り広げられる夢のような時間を想像することはできませんでした。最初にH口氏がお座敷に顔を見せてくださったのでご挨拶。TK氏の同級生にしては若々しく(TK氏<ごめんなさい)、顔つきも凛々しくいい表情をされていて、美味しいお料理をつくってくれそうな方でした。実際、ほんっとに、ほんっとに、すごいお料理でした。美味しかった、なんて一言ではいけないに決まってるんですが、それ以外に言葉が見つかりません。どれも素材をそのままに味わうお料理ですが、素材の選択眼はもちろん、必要にして十分にかけた手間、彩り、お皿へのこだわり、すべてが素晴らしい。もてなす側の知性を感じるお料理でした。一流の料理人は芸術家です。何よりH口氏が心を込めてもてなしてくださっていることがひしひしと伝わる温かい食卓でした。本当に感謝。皆様<とにかく、写真でご覧あれ。

  

↑(左)特大ぼたんエビ&帆立のお刺身。帆立はレモンと塩だけでシンプルにいただきました。エビは食べ応え十分、頭のエビ味噌までしっかり堪能いたしました。どちらも口に入れて日本酒とともに味わうと、目を閉じたくなる美味さ。(中)O先生が港で仕入れた黒頭(くろがしら)。ヒラメの一種で北海道の地魚だそうです。お店に入ったときには生簀で泳いでました。さすがに新鮮、飴色に輝く身はもっちり歯ごたえがあり、そのまま食べても甘みがあります。(右)たらば蟹の脚と毛蟹。そのまま食べます。何にも要りません。

  

↑(左)ミンク鯨のお刺身。滑らかな舌触り。鯨のイメージが変わりました。(中)焼き牡蠣。身は小振りですが、しっかり締まってます。一口で食べれるから全てを一度に味わえます。私は一人で4つ食べました。食卓奥は天ぷら。(右)高級魚きんきの煮魚。昆布を引いてほんのり甘い京風味付け、上品な一品。

↑最後はお寿司。うにととろ(?)。今見ると信じられないけど、お腹いっぱいで1貫ずつしか食べられなかった。もったいないこと、しました。

次から次へとお料理が出てきて、その度に「きゃあ。」とか「わぁ。」とか「え〜っ。」とか叫びながら食す。もちろんO上先生も一緒に食卓を囲んでくださったのですが、「残しちゃいけませんよ。」と仰る先生はお酒を飲み始めるとほとんどつまむ程度にしか食べられないので、チカちゃんと私はひたすら食べる。食事中は本当に食べ物に集中して、お皿の上の話しかしなかったのではないでしょうか。さすがの私達も握りが出てくる頃には箸が休んで、ようやく食べ物以外のお喋りもできるようになりました。そんな頃、O上先生の奥様が札幌から帰っていらっしゃって合流。ご挨拶して一緒に食卓を囲みました。それから、H口氏も仕事に切りをつけて我々のお座敷へ。先生とチカちゃんと私は日本酒を、H口氏はビールを飲みながら、一緒に歓談。ここでも名刺代わりに持っていったポストカードを渡し、キャバレロの話やTK氏の話、旅の話、網走の話と、いろんな話で盛り上がりました。O上先生は長い教師生活を終え、今は新しい生活を満喫、シルバーボランティアとして愛する地元網走の観光案内に奔走し、オホーツク産直朝市のサイトにも尽力している様子。美味しい物を追求し、仲間と網走湖畔を見下ろす山小屋でバーベキューを楽しんだり、サロマ湖の漁師小屋で撮りたての牡蠣を味わったり、お話を伺っていると網走の四季を存分に楽しみ、誠に羨ましい限り。「いいですねぇ。」と言うと「はい。最高です。」。。。ですよねぇ。私も将来そう言えるように頑張ります。一方、H口氏はTK氏やO上先生とのことを熱く語り、「O上先生は僕らの親です。先生とこんなに長い間こういう関係でいられることは本当にありがたいこと。」「TKが僕たちのクラスをいつもまとめてくれた。何か困ったことがあると、皆TKに相談して、あいつがなんとかしてくれた。僕は本当に感謝してる。尊敬してる。今回もTKの頼みだから、貴方達を精一杯もてなしたいと思ったんです。僕に感謝してくださるなら、その気持ちを名古屋でTKに返してやってください。」と、周りの人への、そして地元網走への、熱い想いを語ってくださって、ただでさえアルコールで緩んだ(?)私とチカちゃんの涙腺は我慢できずに思わず期せず涙してしまうほどでした。本当に網走の方達は心が温かいです。今でも思い出すとじんとしてしまいます。この旅で最高の夜でした。H口夫妻、O上夫妻、そして花乃れんのスタッフの皆様<本当にありがとうございました。

 

↑花乃れんの店先で。(左)右から, 心熱き北の男 H口氏、O上先生の奥様、H口氏の奥様、チカちゃん、O上先生。

  

↑花乃れんを出た後、O上夫妻とH口氏と近くの「スナック 敦美」へ。食べきれなかった蟹を持ち込み、お腹がこなれたところで豪快にいただく図。食べ過ぎですよね〜。

11時を過ぎたところで名残惜しみつつ宴はお開きに。帰りはO上先生の奥様の運転でホテルまで。何から何までお世話になりっぱなしの夜でした。ホテルに着いてちょっとお酒を覚ました我々は、大浴場で疲れをとって体を温めて就寝。この日も即刻眠りに落ちたのであります。


11月10日(水) 網走〜摩周湖〜阿寒湖〜札幌 快晴

思い出の朝日

7時に携帯の目覚ましをかけたはずが、電話が鳴って起きたら朝の4時半。O上先生からの着信です。「朝日がきれいだから見てごらんなさい。」とのこと。そういえば昨日の夜、電話してあげるから、と言ってくださっていたけれど、まさか本当にかけてくださるとは。寝ぼけながらもカーテンを開けると、おぉ、美しい!朝焼けが目の前に広がっています。こちら側の部屋で正解でした。チカちゃんを叩き起こすと、コンタクトを入れてないから見えないらしく、寝ぼけながらも携帯電話のカメラでぱしゃり。後で見たら、すごくきれいに撮れてました。それから再び寝たのですが、5時過ぎに再び電話。「朝日が昇りました。月もきれいに見えてますよ。」とのこと。もう一度窓をのぞくと、確かに月の近くに明るい星が二つ輝いてます。しばらく朝の空に見とれていましたが、再びベッドの中へ。そして7時過ぎに起床。私は身支度をして食堂へ。牛乳を飲んでコーヒーを飲んで一服。部屋に戻ってチカちゃんと合流、荷物を持ってロビーへ。すると、なんとO上先生がいるではあ〜りませんか。車にかぼちゃとタマネギをいっぱい積んで、私達だけでなくツアーの皆さんにもと持ってきてくださいました。私達と同宿の4組の方はありがたくいただくことになりました。先生、本当に優しいです。ありがとうございました。

8時20分、バスのお迎えが来て、先生のお見送りのなか、いざ出発。今日はすごい強行軍。札幌までの450キロをひた走ります。出発前に旅行社に聞いたら5時半に着くというので、札幌で6時にメグさんと約束をしている私達は到着時間が気になるのですが、ガイドさんに聞くと早くて6時半、最悪は8時とのこと。何とかなるべく早くよろしくお願いします、と途中何度もお願いし(っていうか脅し?)ながらの移動となりました。

神秘の湖

途中、寄ったのは、摩周湖。「霧の摩周湖」という通り、霧が多く、なかなか湖面を見ることはできないために、(後で知ったんだけど)「摩周湖が見えたらお嫁に行けない。」というジンクスまであるらしい。そして今日はまれに見る快晴、私達はばっちりしっかり摩周湖を見ることができました。

 

摩周湖が見えて大喜びで写真を撮るチカちゃん。このとき我々は「見えたらお嫁に行けない」なんてジンクス知りませんでした。

この日は本当に素晴らしい快晴、摩周湖から阿寒湖に向かう途中、パンケトウ、ペンケトウという2つの湖が道沿いにあるらしいのですが、これが摩周湖より更に見るのが難しいと言われているそうです。山道をくねくね曲がりながら、我らのガイドさんは「私も30年バスガイドやってるけど、この湖だけはわかんないの。ほとんど見ることできないの。今日はどうかなぁ?もうすぐ右側に見えてくるはずなんだけどねぇ。..........あ〜!見える!見える!今日は見えるよ。お客さん達、運がいい........あ〜っ、立たないで〜っ!立たないでって言ったでしょ〜っ!」と絶叫。でもね〜。立ちたくなる左側の人達の気持ちもわかりますよ。まぁ、とにかく、北海道の形してるというペンケトウ湖は見えました。もう1つはどこに見えたかわかりませんでしたが。

そして、阿寒湖へ。マリモの湖です。しかし、我々はマリモより「ビッキさんのお店」が目的。バスを降りた後、短い休憩時間のなかビッキさんのお店を探し、近くの人に聞くと「この先の右側だけど、ビッキさんのお店、今日やってるかなぁ? やってないんじゃないかなぁ。」とはっきりしないお返事。とにかく行ってみるとちゃんと開いてました。そして砂澤一雄さんに会うこともできました。正確には「伝統アイヌ民芸 トアカンノビッキの店」。旭川のTAKE 5長坂さんに紹介してもらったことを話すと喜んでくださり(?たぶん)、「ついこの前名古屋から戻ってきたばかりで、お店の準備ができてないんだよ。」。話を聞くと、名古屋のLブリーに毎年行っているらしい。じゃあ、今度名古屋にいらっしゃったらぜひキャバレロにも遊びに来てください。と例のポストカードを渡す。すると、一雄さんも最近できたばかりというアイヌの言葉とイラストが描かれた絵はがきを私達にプレゼントしてくれました。ありがとうございました。時間がないのでゆっくり話すこともできず、一緒に写真を撮ってもらうのも忘れてましたが、一雄さんは今では数少ない純粋なアイヌということで、いかにもな雰囲気、体も大きくて、顔立ちも大きく彫りが深くて、動きはのんびりゆっくりしていて、優しそうな感じの方でした。本当に名古屋で再会できたら嬉しいなぁ。

札幌すすきのの夜

さて、阿寒湖を後にしたら、後はひたすら札幌へ。途中、何回かトイレ休憩する以外は、走る走る、ひたすら走ります。チカちゃんは眠る眠る、ひたすら眠ります。バスが動き出すとほぼ同時に眠りに落ちて、バスが止まると私が起こして、チカちゃんにとってはあっという間の450キロだったに違いありません。遅くなるのではと心配しましたが、なんとか6時半に我々の宿泊先「札幌東急イン」に到着。これでバスとはさようならです。ふぅ〜っ。はぁ〜っ。と思わず深呼吸。

ロビーでチェックインしていると、「デミちゃ〜ん。」とメグさんの声。札幌なのに、名古屋に帰ってきたかと思ってしまいました。しばらく後で、偶然(?)札幌出張しているK氏と合流。4人で岡田勉氏おすすめジンギスカンのお店「めんよう亭」へ。5条店と6条店があるのですが、「グレートBENと言えばわかるから。」というBENさんの言葉をチカちゃんが電話で試して、6条店であることは突き止めておいたのです。5条店を通り越し、6条店へ。小さな古い、いかにも通好みなお店です。小上がりの畳に落ち着いて、お店の方の言う通りまずは5人分のジンギスカンを頼みました。そして壁を見ると、福居良さんのCDジャケットが飾ってあります。この人、旭川の長坂さんに紹介してもらった人だよねぇ。とチカちゃんと話して、その隣を見ると、「グレートBEN」のサイン色紙が。「いつまでもありがとう。」と謎の言葉が書いてありました。皆で「ベンさんだ、ベンさんだ。」と色紙を指差してまた盛り上がる。そうこうしていて出てきたここの肉はとても厚い。ステーキみたい、あるいはカルビみたい。「うちの肉はあんまり焼き過ぎないでよ。」という通り、レア状態で実に美味しい。今までのジンギスカンのイメージが覆される美味しさです。たいていの名古屋人は美味しいジンギスカンなど食べたことがないので、これはちょっと驚きます。お喋りに夢中になって肉を放っていると、お店の方が「焼き過ぎ、焼き過ぎ。」と世話を焼いてくださいます。はい、はい、ごめんなさい。もったいないですよね〜。と、また一生懸命食べだす我々。そこへヤナギ君が登場。「久しぶり〜。」と、また皆で盛り上がる。メグさんのライブ開始は9時だけれど、その前にバンドメンバーと挨拶して選曲とか打ち合わせをしたいという意外に真面目なメグさんは柳君と一足先にライブハウスへ。K氏とチカちゃんと私はもうちょっとゆっくりしてから移動。帰るときに大将と少しお話。グレートBENに勧められて『めんよう亭』に来たこと、旭川の長坂氏に紹介されて福居良さんのお店に行こうと思っていることなどを話して、キャバレロのポストカードをここでも配布。マーキングしてきましたが、もうちょっと大将とお喋りしたかったなぁ。

←これがめんよう亭のジンギスカン。あんまり美味しそうに写真撮れなかったけど、本当に美味しいです。

メグ@Live at my place

メグさんが歌うことになっているライブハウス「Live at My Place」へ。9時少し前にお店へ行くと、既に超満員。無理やり一番前に座らせてもらいました。店内はすごい熱気。メグさんは北の大地のステージで大量の汗をかいてらっしゃいました。1回目のライブが終わって何人か帰ったものの、その後もお客様がご来店、2回目のステージも満員にして、メグさんのいつも通りの芸人風?MCへの客席の反応も上々で、ご機嫌な夜でした。

 

↑(左)今年の夏まで名古屋にいたベーシスト、柳真也くん。(右)満員の店内。小さく写っているのがメグさんです。

ライブ終了後、メグさんはお客さんに囲まれ歓談、メグさんの友人夫妻(名古屋出身)もいらっしゃって積もる話に盛り上がっているので、K氏とチカちゃんと私はマスターとバンドのメンバーにご挨拶して、一足先に失礼することにいたしました。(ここでもキャバレロのポストカードを何枚か配布。)お店を出て、すすき野のにぎやかな街をぶらぶら歩きながら、旭川の長坂さんに紹介していただいた福居良さんのお店「SLOW BOAT」というお店へ。

SLOW BOAT

4階のお店に着くとベースの方が楽器を片付けているところで、ライブが終わって他のお客様も帰ってしまったようです。テーブルに座ったところ、ママが「もしかして、名古屋の方ですか?」と声をかけてくださいました。そうなんです。ライブを聴きたかったんですけど、前のお店を出るのが遅くなってしまいました。ごめんなさい。「いえいえ、もういらっしゃらないかと思ってました。長坂さんから1杯ずつご馳走するように頼まれてますから、どうぞ。」とのお言葉に、またまた感激。ご好意に甘え、カンパリソーダとスプモーニを頼みました。そしてマスターの福居さんにもご挨拶、ポストカードを渡して自己紹介、マスターとママと一緒に歓談。まずは旭川の長坂さんに電話してお礼をしようということで、チカちゃんが電話をかけ、皆に回してそれぞれお話しました。その後、長坂さんのこと、ビッキさんのお店の一雄さんにも会ってきたこと、岡田勉さんに教えてもらってめんよう亭に行ってきたことなど、お話ししました。福居さんは、「旭川には年に一度くらい演奏しに行くんだよ。」「一雄さんには名古屋で会ったよ。」「岡田めんよう亭だけ教えて、なんでここ教えないんだよ。それに、岡田は名古屋で会ってもキャバレロのこと教えてくれなかったよ。」ってな感じでどんな話題も盛り上げてくださり、美しく優しいママもにこやかに話題に参加してくださって、マスターおすすめの日本酒(北斗随想)を飲みながら、楽しいひとときを過ごしました。福居夫妻は25,6年前に1年半名古屋に住んでいたとのこと、今でも年に何度かLブリーSターアイズで演奏しているとのことで、名古屋にとても詳しかったです。

そうこうしていると、ギャング風スーツに身を包んだ男性が登場。ゼロハリバートンのケースからカウンターに取り出したのは2リットルの透明ペットボトルに入ったにごり酒らしき怪しい白濁飲料。それを見て「お〜、テポドンだ!」と福居氏。どうやら破壊力抜群のお酒らしい。テポドン持参のこの方、近所の居酒屋さん「北の味 のつけ」の大将G氏。チカちゃんがいきなり「ノリちゃん!」呼ばわりして意気投合。じゃあ、皆で一緒にテポドン飲もう!ということになり、我々もおそるおそる飲み始めました。

そうこうしているところに、廊下から「はぁ〜い!」と元気よく金髪メグさん登場!あまりの派手ないでたちに福居氏の目が点になっていたのですが、それはメグさんの知らない話。(後で聞いたところによると、メグさんはここに来る途中でお寿司屋さんに寄ってきたらしい。さすがです。チカちゃんも私もまだまだ修行が足りませんが、ついていきます。)そして、メグさん皆さんにご挨拶。あっという間に場に溶け込んで主役でございます。福居氏は「知らなかったなぁ。名古屋には詳しいはずなのに、どうしてメグに会ってないんだろう?どうして誰も教えてくれなかったんだろう?」と首ふることしきり。「私は福居さんのこと存じてましたぁ。でも、私、女装だから皆紹介しづらかったんだと思いますぅ。」とメグさんが答えると、福居氏は「え〜〜っ。本当?」と上から下までメグさんを眺めて、「俺、酔ってるかなぁ。女に見えるよ〜。」。ノリちゃんが「女ですよ、女。」と耳打ちしてます。とにもかくにも、さらに盛り上がって、お店の閉店時間2時を過ぎた頃、福居氏がピアノのところへ。私達のためのソロ演奏です。素晴らしい。感激。そこでメグさんもスーツケースから楽譜を引っ張りだして、1曲お披露目。「もっと、やろう。」という福居氏、さらに3曲ほど歌って、我々は贅沢な深夜ライブの観客になる光栄に恵まれました。演奏が終わって拍手、拍手。テーブルに戻ってきた福居氏、空になったペットボトルを見て驚愕、「テポドン全部、飲んじゃったよ。すごいなぁ〜、おい。」。そういう訳で楽しい楽しい宴もお開きとあいなりました。ほんと、楽しかったです。福居夫妻<ほんとに、ほんとに、ありがとうございました!

(私達がラーメン食べたいと言うと、「じゃあ、はっせん(だったと思う)に行こう、はっせん、はっせん。」と言う福居氏。それ、何ラーメンですか?と聞くと「焼肉だよ、焼肉屋!」と、いかにも深夜らしい会話を何度も!交わしたのですが、それはまた別のお話。)

 

↑(左)SLOW BOATのマスターにして北海道ジャズ界のドン、福居良氏を囲んで。(右)左のギャング風スーツに身を包んでいるのが「のつけ」の大将ノリちゃん。テポドンごちそうさまでした。チカちゃんとメグさんの間の素敵な女性がママさん。

 

↑(左)福居氏のソロライブ。(右)我らがメグさんとのDUO。贅沢なひとときでした。

名古屋組一行全員べろべろでお店を出たのは3時過ぎ。(たぶん。)それから、どうしてもラーメンが食べたいという我々に付き合って、ノリちゃんが「一国堂」に連れてってくれました。ビールとともに、お薦めのしょうゆラーメンを食す。美味しかったです。(と思います。)でも、例によって酔っているので、本当に美味しかったかと言われると謎であります。どんな味でどんな麺だったかも記憶にございません。ラーメン食べてると、ガラス越しに歩いて帰るところの福居ご夫妻を発見。皆で手を振ってご挨拶。メグさんは道路に飛び出して、さらにハグハグ、熱烈ご挨拶。最後まで男か女か悩んでいた(?)福居氏でありました。4時、食べ終わった我々は歩いてホテルへ。そして翌日、っていうか当日の朝、市場で朝ご飯を食べるため、7時にロビーで会う約束をして別れたのであります。(まじかよ?!)


11月11日(木) 札幌〜名古屋 くもり、のち雨

朝市で朝ごはん

私は6時に起床。シャワーを浴びて身支度、荷造り。チカちゃんを起こす。チカちゃんは「チカは市場行かない。朝ご飯食べないもん。」とベッドから出ません。「そんなこと言わずに起きようよ。せっかく札幌まで来たんだから、根性見せてよ。」(って、体育会系の合宿か?!)「だって、メグさんは絶対に来ないと思うよ。」。。。「私もそう思うけど、でもK氏はきっと来るよ。」ってことで、チカちゃんがK氏に電話すると、もうロビーに到着したとのこと。私がメグさんに電話すると、何と電話に出たメグさんが「おはよーございます。すいません、すぐ行きますっ。」。ってわけで、チカちゃんも起きないわけにはいかず、7時15分には4人ともがロビーに集合。こうでなくっちゃ。っていうか、まじかよ?!

で、ホテルの前からタクシーに乗り込む。目指すは「札幌場外市場」(札幌中央卸売市場の場外版)。札幌二条市場は観光客用で高いそうです。タクシーの運転手さんに「場外市場で、おいしい朝ご飯食べたいんですけど。」と言うと、「あぁ、あるよ。まかせといて。」と、心強いお言葉。この運転手さん、すごく調子がよくて、もしかしたら酔っているんじゃないかと思うくらい。まぁ、我々もまだ完全に酔っぱらいではありますが。「なに、お客さんたち、名古屋から?今日帰るの?空港まで、4人一緒ならタクシーでもいいんじゃないの?千歳に美味しいラーメン屋があるよ。「いっぺい」っていうの。おいしいよ。空港駅の手前の千歳駅で降りると、駅裏にあるの。行ってごらん。」(実際、K氏は行ったらしいけど、お休みだったそうです。木曜定休か?)「小樽の寿司がおいしいなんて言うけど、そりゃ、札幌の寿司の方が美味しいに決まってるさ、小樽なんて、所詮、いなかの寿司よ。なぁ〜。」「それから、居酒屋なら醍醐だいごって店に行ってごらん。おいしいよ〜っ。」ってな感じで運転手さんが喋り続けて市場に到着。とある食堂の前で降ろされ、「ここ、美味しいから。」。タクシーを降りた我々は、一応、隣の魚屋さんに「おいしい朝ご飯食べたいんですけど。」と聞いてみたのですが、お兄さんが黙って隣の食堂を指差すので、「ですよねぇ。」「はい、わかりました。」と、言われるがまま隣の食堂へ。まずは、皆でビールを(!)。そしてK氏と私は蟹丼。メグさんはうにいくら丼の小を注文。どちらも¥1500。何を頼んでも蟹の鉄砲汁がついてきます。店内を眺めていると、壁に石ちゃんのサインを発見。丼食べて、皆で「まいう〜。」とユニゾン。蟹もおいしかったけど、うにいくら丼の方がおすすめです。ほんと、おいしかった。3時間前にラーメン食べたばかりだなんてこと忘れて、ちゃんと食べました。ごちそうさま。しかし、全員寝とぼけているうえにお酒も残ってるうえにビール飲んで、お店の名前を誰も気にしてなかったんです。店名紹介できません。ごめんなさい。

 

↑(左)蟹丼。右側が鉄砲汁。これだけでも¥1500の価値がある?。(右)うにいくら丼。写真撮り忘れたので、これは他所から借りてきたイメージ写真。こんな感じです。で、鉄砲汁ついてます。

朝ご飯に舌鼓を打っていると、お店のガラス越しにさっきの運転手さんが。こっちに来る、来る、来る、で、顔を出して「まだ食べとんのか?!」。それでもゆっくり食して外に出て、待ち伏せしてる(?)運転手さんに「ホテルまでお願いします」。乗った途端、「独身の女は猫なんて飼ったらだめだよ。」「猫はずるいからね〜。」「女は男と別れても猫とは別れないから、たちが悪い。」............沈黙。..............「やっぱり子供。子供、生まないとだめだよ〜。」「子供はかわいいよ〜。」「30はまだいいわ。40才越えるとね〜、寂しいよ。寒い冬には一人の寂しさがこたえるんだ〜。」..........。おじさん、絶対酔ってるでしょう。それとも、こういう人なのかなぁ。我々が笑いをこらえている間も、運転手さんは喋り続け、ホテルに到着。おもしろかったなぁ。

名古屋へ

さて、我々4人はホテルで解散。帰りの飛行機はみんな別々なのです。チカちゃんと私は荷物を持って、そのまま電車に乗って新千歳空港へ。空港でお土産を買いまくり、飛行機へ乗り込みました。13:00、名古屋着。名古屋は小雨。空港で預けたチカちゃんの VICTORINOX のナイフを受け取り、駐車場のおばさんに迎えにきてもらって、チカちゃんの車に乗り換え、我が家へ。こうして私達の北海道旅行は終わったのであります。

名古屋に戻ってみると、北海道の4日間が夢のよう。お店に、家事に、雑事にまみれ、あの日々が現実だった証はといえば、暴飲暴食の証、チカちゃんと私の顔にぶつぶつできた吹き出物ばかり。確かに吹き出物ができるだけのことはしてまいりました。それにしても、この4日間、本当にいろんな出会いがありました。旅っていいなぁ。とつくづく思える旅でした。とさ。


★北海道でお世話になったお店一覧

以下のお店にはチカちゃんと私がマーキングしてきました。「キャバレロクラブの紹介で」と言ったらとわかってもらえると思います(たぶん)。そう言って優しくされるか冷たくされるかは謎ですが。

★サックスとクラリネットの店 TAKE 5 旭川市3条通6丁目 小杉ビル4F 0166-22-5536    

マスターは長坂さん。ふだんはマスター一人の演奏があります。年に何度かバンドを呼ぶそうです。スケジュールは電話でご確認を。

★伝統アイヌ民藝の店 トアカンノ・ビッキの店 北海道阿寒町阿寒湖畔温泉1.6.16.   0154-67-2884  

砂澤一雄さんのお店。音楽が好きで、名古屋のライブハウスにも年に一度はいらっしゃるそうです。

★鮨かっぽう 花乃れん   北海道網走市南5条 東2丁目   0152-44-7576

網走市内の料理屋さん。海の幸を楽しみたいなら、ぜひここで。大将は堀口さん。

オホーツク産直市場 

私達がお世話になったのは尾上さん。このサイトでオホーツクの美味しいものが手に入ります。コラムも楽しいです。

めんよう亭 6条店  札幌市中央区南6条西4丁目 銭松ビル1階(北欧サウナ前) 011-521-1122

ジャズメン御用達、ジンギスカンのお店。ジンギスカンってこんなに美味しいんだ。と目からうろこが落ちます。

★Jazz & Bar LIVE AT MY PLACE  札幌市中央区南7条西4丁目 すすきのプラザ2F。   011-521-1667

マスターは川手さん。メグさんが歌った所です。名古屋で活躍していたベーシストの柳君がよく出演しています。

Slow Boat   札幌市中央区南3条西3丁目 もりにビル4F  011-210-5144

ピアニスト福居良さんのお店。名古屋でもよく演奏しているそうです。ライブあります。スケジュールは電話でご確認を。

北の味 のつけ  札幌市中央区南5条西4丁目 バッカスビル1階

Slow Boatでご一緒した大将は後藤さん。札幌で海の幸を食べたいときは、ぜひどうぞ。


 <旅のおまけ>

網走でお世話になったO上先生と花乃れんのH口さんに頼んで、海の幸を名古屋に送っていただきました。11/12(金)荷物が届き、夜のキャバレロでヒロ君にお料理してもらって、CAVAや白ワインとともに、皆でいただきました。写真を撮り忘れたのも多いのですが、メニューは以下の通り。

・蟹  チーズとオリーブオイルをかけて。

・帆立のカルパッチョ  この写真は我が家でつくったものだけど、同じ調理。レモンを絞り塩胡椒してチーズとオリーブオイル。

・つぶ貝のオーブン焼 ブルギニオン風 ....... 写真はないけど、エスカルゴの味付けと同じといえばわかっていただけるでしょうか。香ばしくて大好評でした。

・小タマネギの丸ごとオリーブオイルかけ ....... 先生がホテルに持ってきてくださったタマネギを丸ごとレンジでチンしてオリーブオイルをかけただけ。素材の甘みだけで十分おいしく、皆びっくり。

・蟹と野菜のサラダ ギリシャ風  ドレッシングには北海道のタマネギを使って。

・かぼちゃのニョッキ ゴルゴンゾーラソース これがNo.1人気。かぼちゃの甘みとブルーチーズが素晴らしい効果を。

・ムール貝のパスタ シンプルな味付けで素材の味が引き立ってました。

以上、「キャバレロ風 北海道の美味を楽しむグルメ会」終了。皆様<ありがとうございました。


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